「何度でも生き方を選べる」平均25歳、高知の移住者で結成されたNPO法人ひとまきの再スタート


生きていく上で、日々予期せぬ出来事があります。

突然の事故や病気、信頼している人に裏切られたり、仲間や組織とうまく行かなかったり…
辛く苦しいとき、自分の力で立ち上がるきっかけは「環境」を見直すことでしょうか。

“もっと自由に、人間らしく生きればいい”

若者が若者のために、そんな選択肢を与えてくれるチームが高知県の山奥にありました。

(インタビューアー編集長・鳥巣愛佳/とりっすー

平均年齢25歳の移住者たちで運営「NPO法人ひとまき」

高知県の北部に位置するれいほく地域にて、若者が生き生きと自己実現に向けて動ける世の中を作るために活動しているNPO法人。運営スタッフは平均年齢25歳の移住者たち。限界集落と呼ばれる地域から「新しい生き方・働き方」を提唱し、年間で1000人以上の滞在者を受け入れています。

「ONEれいほく」から再スタートを切った、ひとまき

2018年春、当メディア編集長・鳥巣の元に届いた一通のメールで、私の友人たちがいる高知県で起きた出来事を知りました。

内容は、れいほく地域に滞在していた女性と、団体に近しい男性との対人トラブルについて。
組織の管理体制の甘さを問われてしまった出来事でした。

事業外の出来事ではあったものの、責任が問われた移住支援を行う団体のリーダーである矢野大地さん(@123Vaal )は、対応を進めると共に再発を防ぎ、よりよい環境作りのために奮闘する日々が始まりました。

とりす
事件のことは私もとても驚きました。『ONEれいほく』だからという訳ではなく、起こり得るすべてのリスクに対して備えるというのは、どんな組織でも必要なことだと学びました。様々な対応後、再スタートを切られて心境を聞かせて頂きたいです。
矢野さん
今まで運営をかなり自由にやらせて頂いていたのですが、だからこそ起きてしまったトラブルでした。自分の未熟さが浮き彫りになってしまいましたね。二度と起こらないように、よりよい組織・地域にしていけるかはこれからにかかっています。
とりす
奮闘の様子もメディア越しに伝わってきていましたが、組織のリニューアル情報やメンバーの晴れやかな写真を見たときは、なんだかホッとした気持ちになりました。
矢野さん
事件がきっかけで仲間も8人中6人が抜けたりして、僕たちをとりまく環境も大きく変わりましたね。組織体制も一から見直して、組織として本当に自分たちのやりたかったことを目指していこうと思いました。

NPO法人ひとまき代表 矢野大地さんプロフィール

京都丹後出身、26歳。大学時代、東日本大震災支援に1年間宮城県気仙沼市で現地NPO法人のインターンとして活動した経験から社会が抱える課題へ立ち向かって行くのかを考え、活動をスタート。現在は個人事業主として企画デザイナー・猟師をしている。

「仲間の自己実現の場所に」経営者としての視点の変化

とりす
そういった出来事を経て、矢野さん自身での変化はありましたか?
矢野さん
今までも経営の経験はなかったので、尊敬している経営者の方の真似をしながら思考錯誤していました。再スタートを切ってからは今までよりも一層、こうありたいという想いは強くなってきましたね。
とりす
具体的には、どういった内容だったのでしょうか?
矢野さん
ひとまきに関わるスタッフたちのやりたいことを、優先していくようになりました。外向きの顔は気にせずに、みんながやりたいことをできる自己実現の場としていきたいんですよね。
とりす
矢野さんのお人柄が出ていますよね。私も滞在させてもらった時、本当に楽しくて。自然やご飯はもちろんですが、こんなに暖かく迎えてくれる場所ってあるんだなって、感動しました。
2017年に鳥巣が嶺北に滞在した際の写真(写真中央:矢野さん 左:鳥巣)

矢野さん
僕、大学に講演する機会も頂いたりするのですが、未来に対する希望を持てない若者が増えている実感はすごくあります。確かに私たちの世代は、少子高齢化や財政問題などが厳しい世界が待っているのが現実です。だからこそ、自分自身でチャレンジしていかないと、どんどん生きにくくなるんじゃないですかね。そういうチャレンジできるコミュニティにしていきたくって。
とりす
そういえば矢野さんも、教師になることを辞めて新卒でフリーランスという道に進まれていましたもんね。
矢野さん
一度レールから外れてしまうと、みんな失敗したと思い込んでしまうのですが、全くそんなことはないんですよね。そういった想いを込めて「何度でも生き方を選べる」ということをビジョンに掲げています。今後は嶺北だけでなく、別の地域でも同じような想いをもった場所を作っていきたいです。
とりす
地域が離れていても、同じビジョンを持った仲間がいるというのは心強いですね。

アートへの挑戦。命の物語を伝える「狩猟×アーティスト事業」

とりす
最近、矢野さんはアートも始めたそうですね!
矢野さん
そうなんです!僕、狩猟もしていて、よく猿や猪や鹿を捕獲してさばいて食べたりしているのですが、どう頑張っても捨てる場所って出てくるじゃないですか。それをもったいなく思っていまして。
とりす
命を頂くことに対して、リアルに向き合っていらっしゃいますもんね。
矢野さん
ブログにも書いたのですが、そう思う一方で、報奨金などの商業用として動物の体の一部を使って、あとは平気で捨ててしまう人たちもとても多いという現状を知って、かなりショックを受けたんです。

そんな2年の間、狩猟をして来て、とてももどかしく感じていることがあったんです。
それは、獲った鹿・イノシシのほとんどは報奨金が手に入るために殺され、必要のない、筋の多い肉や皮、そして骨は捨てられているという現状が当たり前の現状でした。
確かに、狩猟という仕事は食肉加工場がないと肉を売ってお金を稼ぐことはできないし、皮や骨などの加工品も労働に対する対価としてはなかなか食べて行くのには難しい現状があります。
なので、職業猟師のほとんどは、食肉加工までやって、肉を売るか、大量に獲って報奨金を得るかというのがほとんどなのです。
人間のエゴで野山で暮らす野生動物を狩り、地肉を得ているのに、ほとんど捨てられている現状に僕はひどく落ち込みました。
自由になった猿より引用)

矢野さん
もっと何かできないのかなって。もちろん獣害とかの問題もあっての事実ですが、僕にできることをやりたいなと思いました。
とりす
それがアートだったんですね。命と向き合っているからこその斬新な発想だと思いました。
矢野さん
ありがとうございます。まだ誰もやっていないことなので、この活動をきっかけにメッセージを伝えていきたいと思っています。

「今の環境でいいのかを常に問え」高知の山奥からのメッセージ

とりす
迷いあって訪れた滞在者や、そのまま移住した方、もともとの地域の方々など多くの方が集う場所を作っていらっしゃる矢野さんだからこそ、今の活動を通して若者に伝えたいメッセージはありますか?
矢野さん
「今の環境でいいのかを常に問え」と言いたいですね。何をやるにしても、正解なんてないじゃないですか。今の自分がどこでどういう風に咲き誇っていきたいのかを常に問いて、マインドを保ってほしいです。
とりす
矢野さんらしい、愛ある厳しさの詰まった表現ですね。10月から滞在プログラムも再開されるようで、多くの方が前向きに生きていくきっかけになるのを、東京から応援させて頂きます!ありがとうございました!

 

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