【継承と革新vol.1】デザイナーからの家業の継承。かりんとうの銘菓ゆしま花月3代目代表が語る食文化の未来


「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」

ビスマルクが残したこの言葉は、めまぐるしい革新がおきている今こそ心に留める必要があるかもしれない。

日本経済の歴史を作ってこられた当メディア監修、辻本相談役と
歴史を継承していく一人、ゆしま花月三代目店主の溝口さんの対談から見えてきたものとは。

(ライター編集長・鳥巣愛佳/とりっすー

【対談】経営の達人「辻本英一相談役」×ゆしま花月三代目「溝口智広」

今回の対談は、当メディアを運営する株式会社ARIES特別顧問、辻本英一氏とゆしま花月三代目の溝口智広さんの対談です。

ゆしま花月三代目 溝口智広さん
1979年東京生まれ、多摩美術大学2003年卒業。デザイン会社に勤務後に家業を継承。有限会社花月代表取締役

ゆしま花月3代目店主「家業を継ぐ」に至る経緯とは?

辻本先生
今の日本は後継者不足が問題になっていますが、そのような中で溝口さんが家業を継ぐと決めた経緯はなんだったのでしょうか?
溝口さん
実は小さい頃から家業である、かりんとう屋を継ぐと思っていたんですよね。継ぐことを強制されることはなく、私の父がある程度自由にものごとを考えさせてくれたお陰です。私にはやりたいことをやらせてもらえる環境もありました。私はもともと美術大学を出てデザイナーをしていたんですね。そこで学んだ技術や経験を将来的に家業を継いだ後に活かしたいと思っていたので、外の世界で学んだ後に家業を継ぐということはすごく自然な流れだったんです。

創業71年になるゆしま花月。かりんとうの専門店として東京の湯島に本店を構える。つやつやと美しい光沢のある飴がコーティングされたかりんとうは、幅広い世代に愛されている。着物を模した包装デザインを含め、パッケージデザインは全て溝口さんが手がけている。

辻本先生
伝統や由緒あるものからは若者離れが進んでいると言われますが、若者は若者なりの感覚で咀嚼しなおしており、むしろ夢があると私は思っています。

ノスタルジーを感じる、ゆしま花月のかりんとうの魅力

 

多くの方に親しみのあるかりんとうですが、その魅力に迫ってみました。

溝口さん
若い方がうちのかりんとうを食べた時に「なつかしい」という感想を頂いたことがありまして。本来そういった過去の体験記憶がない世代にもかかわらずノスタルジーを感じるというのは、すごく印象的でしたね。それこそがかりんとうの持つ魅力のひとつなのかなと。
辻本先生
かりんとうって、言われてみればどの世代にも愛されているお菓子ですよね。和菓子でなく駄菓子を心から楽しむというセンスが素敵だと思いました。
溝口さん
ありがとうございます。本来かりんとうは大きくは和菓子の枠組みになるんですが、あえて駄菓子という表現を使っています。もともと、祖母の駄菓子屋さんがきっかけだったので。親しみやすさを感じて頂いて、今や法人相手での手土産に購入して下さるが多いですね。

「日本の食の文化を海外に届ける」2人が語る食文化の未来

辻本先生
日本土産で海外人気を狙うと、塩味よりも甘みの方が好まれかもしれませんが、ゆしま花月のかりんとうは外国の方にも人気だそうですね。
溝口さん
私もそれは発見でした。かりんとうって実はすごくシンプルな作り方で。小麦粉を油で上げて砂糖をまぶしたお菓子というものは、おそらく世界のどこにでもあるお菓子作りの工程なので、親しみもあるのかと思っています。だからこそ、「日本のお菓子」として他の国にはないというところまで昇華させたいですね。今後の課題のひとつです。
辻本先生
フランスでは今や懐石料理風のフランス料理が人気だったり、パリでは羊羹にチーズを合わせワインで楽しむ文化もあるのだそうです。食は重要な文化ですからね。自由な楽しみ方で、いいものはどんどん広がっていくでしょう。食文化が融合した後、最終的には原点回帰し本物の質の世界になると思っています。

保守的ながら本質を追求、イノベーティブに老舗の味を引き継ぐその先

溝口さん
本店のかりんとうも、実は一種類に絞っているんです。他の種類のお菓子はあるのですが、かなり保守的な経営だと思っています。頑固なまでに味を変えないですし、本店で取り扱っている商品の中で、一番新しいお菓子も15年以上前に出したものです。保守的な一方で、今までにない新しいかりんとうをお客さまに提供したいという思いもあり、昨年銀座に新しく開業した商業施設、GINZA SIXの中に新ブランド「ぎんざ鏡花水月」を立ち上げました。こちらでは本店では取り扱いのない、三種類のかりんとうを販売しています。

GINZA SIXの中に出店してある「ぎんざ鏡花水月」限定パッケージ

溝口さん
ただ、どちらも共通しているのは、ここでしか買えないという、地域に根付くものを追求していきたいという思いです。多店舗展開はせず、どちらの店舗もそこでしか買えないという希少性をお客様に喜んでいただけたらと思います。
辻本先生
まさに質の追求ですね。そこにしかないものというのは、贈答品として非常に喜ばれるでしょうね。見て、食べて、喜んで頂ける両方の魅力もあります。溝口さんは今後の展望について、どうお考えですか?
溝口さん
いつになるかはわかりませんが、将来的に現在の二つのブランドとは別に、もっと気軽に立ち寄っていただけて、私たちのお菓子をより多くの方に楽しんで頂けるようなブランドをもうひとつ立ち上げたいですね。
辻本先生
素敵ですね。ビジネス的な視点で、商品にはやはりその商品ごとに適正規模というものがありますからね。業容拡大のために、新しくブランドを作っていく発想はまさに正しい考え方だと思います。

変化に適応していく強さの秘訣。これからの20代の生き方とは

ジャンルは違えど歴史を作ってきた立場と、継承していく立場のお二人。そんなお二人が考える、20代の生き方で大切なこととは。

 

溝口さん
好奇心を持つことが大切だと思います。自分の好奇心を突き詰める先に、歴史も経済も学びがありますからね。
辻本さん
確かにそうですね。流行に流されず、これは自分にしかできないというものを早く発見してほしいです。みんながなりたい職業なんてレッドオーシャンですからね。昔は大半の業種や会社が成功できた時代でしたから、経済成長に任せて働いておればよかったのですが、今は時代が違います。自分に何ができるのかを早く見つけて行動してほしいです。

 

革新が求められる今だからこそ、それが作られた過程に大切なものが詰まっていることに気づいてほしい。自分が好きなものを追求していく中で、歴史の魅力に気づいた先には、大きな可能性が広がっているのかもしれません。

ゆしま花月HP:http://www.karintou-kagetsu.com/
ぎんざ鏡花水月HP:http://www.karintou-kagetsu.com/ginza

(ライター・編集長 鳥巣愛佳

   

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